射出成形に適切な素材を選ぶことは、高品質の製品を作る上で非常に重要です。 この記事では、射出成形に最も一般的に使用されるプラスチック樹脂について説明し、製品に最適な樹脂の選び方をお伝えします。

射出成形によく使われる10種類のプラスチック樹脂

射出成形によく使われる10種類のプラスチック樹脂

射出成形で使用されるプラスチック樹脂を決める前に、高圧下で溶けるポリマーである熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の概念を理解することが推奨されます。

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、熱に対する反応が異なる2種類の素材です。熱可塑性樹脂は多用途で、何度も加熱、冷却、再形成が可能で、化学的組成に変化はありません。 一方、熱硬化性樹脂は加熱されると永久的な化学変化を起こし、その形状が固定されます。

一般的に、熱可塑性樹脂はリサイクル可能で複雑な形状やデザインを形成する柔軟性から、射出成形に理想的な材料です。 その適応性から、さまざまな産業で好まれています。

THY精密工業では、以下のような一般的な熱可塑性樹脂を使用して製品を製造しています:

1. ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレン(PP)は、眼疾患治療用の疎水性眼内レンズ(IOL)など、高精度でサイズ特定の製品を効率的に大量生産するために、射出成形で最も広く使用されている樹脂です。 医療グレードのPPを使用することで、さまざまなサイズに特化した製品を効率的に大量生産でき、コスト効率の高いソリューションを提供できます。

2. ポリカーボネート(PC)

ポリカーボネートは、光学的な透明度と堅牢性から選ばれることが多い多用途の熱可塑性樹脂です。 これらの特性から、ガラスの軽量代替品としてよく使用され、高い耐衝撃性が求められる用途に理想的です。 光学レンズの設計時に考慮すべき点に関しては、こちらの記事で取り上げています。

射出成形は、ポリカーボネート (PC) を扱う場合に最大の柔軟性を提供します。 この方法により、さまざまな形状、生産規模、強化された機械的および光学的特性が可能になり、ユニットあたりのコストを低く抑えて大量生産するのに最適です。

3. アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)

アクリロニトリルは最終製品に耐熱性と耐化学性を与え、ブタジエンは衝撃抵抗力を向上させ、スチレンは強度と光沢のある仕上がりを加えます。 プラスチック玩具によく使用され、多くの消費者に手頃な価格で提供されます。

4. ポリエチレン(PE)(LDPE/HDPEに分類)

ポリエチレン(PE)の密度の違いは、その物理的特性と実用的な応用に大きな影響を与えます。 LDPEなどの密度が低いタイプは、結晶性が低く、柔軟性が増します。 一方、HDPEは密度が高く、結晶性と剛性が増します。

通常、ポリエチレンは軽量で耐薬品性があり、業界では効果的な電気絶縁体として知られています。 PE の強度と剛性はタイプによって異なり、応力や歪みに対する耐性が求められる用途では射出成形タイプがよく使用されます。

適切なタイプのポリエチレンを選択する場合、剛性が増すと脆さも増すことが多いため、設計者は潜在的なトレードオフを考慮する必要があります。 さらに、PE の種類によって、特定の化学物質や日光に対する耐性の度合いが異なります。

5. ポリメチルメタクリレート(PMMA)

PMMAは、高い引張強度、曲げ強度、ガラスのような透明度を誇り、ガラスの代替品として人気です。 しかし、PMMAはPC(ポリカーボネート)よりももろく、圧力下での亀裂や破損が起こりやすいです。

このガラスとの類似性により、従来のガラスに代わるコスト効率が高く、より耐久性に優れた代替品として広く使用されています。 バイオ産業では、その透明性により経済的かつ頻繁な透過率測定が可能になるため、キュベットなどの用途に特に好まれています。

6. ポリスチレン(PS)

ポリスチレン(PS)は、ケース、使い捨てスプーン、カップなどの製造に適した材料で、射出成形プロセスに適応しやすいため、好まれています。

この方法は、多くのそのような製品を生産するために広く好まれています。 ポリスチレンは、そのポリマー構造に応じて熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂になることができるため、他の樹脂とは一線を画しています。 この汎用性により、さまざまな形状に成形することができ、さまざまな用途にわたる特定のニーズを満たすことができます。

7. リキッドクリスタルポリマー(LCP)

リキッドクリスタルポリマー(LCP)は、高温に対する抜群の耐性、優れた機械的強度、素晴らしい寸法安定性を持っており、医療および電気分野で広く利用されています。 また、高い絶縁強度と低い熱膨張係数も誇ります。 これらの優れた特性により、LCP は医療分野や電気分野で広く利用されています。

8. ポリオキシメチレン(POM)

ポリオキシメチレン(POM)は、その強い物理的、機械的、化学的特性、特に優れた摩擦抵抗性で知られています。

摩耗に強いコンポーネントや伝動部品の製造に理想的です。 そのため、耐摩耗部品、トランスミッション部品、化学および計測用途で使用されるさまざまな部品の製造に最適です。

9. ポリアミド/ナイロン(PA)

ポリアミド/ナイロン(PA)は、多用途性、柔軟性、耐久性を兼ね備え、より手頃な価格の代替材料として広く使用されています。

高い融点を持ち、過酷な環境で金属を置き換えるのに適しています。 さらに、摩擦が低いため摩耗速度が遅くなり、金属部品や表面と並んで良好に機能します。 ポリアミドは優れた耐薬品性も示しており、これは医療分野など、デバイスや機器が危険な化学物質に頻繁に接触する業界では極めて重要です。 さらに、引張強度が高く、ほとんどの熱可塑性プラスチックに比べて曲げや屈曲による疲労に対する耐性が優れています。

10. ポリブチレンテレフタレート(PBT)

ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、UV耐性、熱耐性、顕著な誘電強度など、射出成形に多くの利点を提供します。

各樹脂の主な特性と用途をまとめた表は以下の通りです:

射出成形樹脂主な特性一般的な用途
ポリプロピレン (PP)堅牢性、柔軟性、優れた耐熱・耐化学性医療用途(眼内レンズディスク)
ポリカーボネート (PC)光学的透明度、堅牢性、生産の柔軟性多様な大量製品
ABS樹脂 (ABS)耐熱・耐化学性、衝撃抵抗性、光沢のある仕上がりプラスチック玩具
ポリエチレン (PE)軽量、耐化学性、密度の違い(LDPE、HDPE)耐久性を要する製品
ポリメチルメタクリレート(PMMA)高い引張・曲げ強度、ガラスのような透明度バイオ産業(キュベット)、ガラスの代替素材
ポリスチレン樹脂 (PS)射出成形に適応、形状の多様性ケース、使い捨てスプーン、カップ
リキッドクリスタルポリマー(LCP)高温耐性、機械的強度医療・電気分野
ポリオキシメチレン (POM)強固な物理・機械・化学特性、摩擦抵抗性摩耗に強いコンポーネント、伝動部品
ポリアミド/ナイロン(PA)多用途性、耐久性、高い融点過酷な環境での金属代替
ポリブチレンテレフタレート(PBT)熱耐性、誘電強度電気・電子絶縁部品

射出成形用の最適なプラスチック素材の選び方

射出成形用の最適なプラスチック素材の選び方

射出成形用の適切なプラスチック樹脂を選ぶには、製品に関する全面的な理解が必要です。 以下の点を考慮して、ニーズに最も適した樹脂材料を特定してください:

1.この部品の用途は何ですか?

2. 外観上の考慮事項はありますか?

最後に、プロジェクトの適切な材料を選択するだけでなく、射出成形の設計ガイドラインを総合的に理解することは、失敗や欠陥を防ぐための予防措置として役立ちます。

適切な素材が見つからない時は? 専門家に相談を

適切な素材が見つからない時は? 専門家に相談を

射出成形プロジェクトに適したプラスチック樹脂の選定に困っている場合は、お任せください。 THY精密工業の材料選択の専門家に相談することで、知識に基づいた提案を行い、効率的かつ予算内でアイデアを実現する手助けができます。

THY精密工業は以下のようなサービスを提供しています:

さらに、プラスチック製品に特定の色要件が必要な場合にも対応可能です! PANTONE色番号を指定していただければ、THY精密工業は正確な色合わせのための適切な色粉末またはカラーマスターバッチを見つけます。 原材料を染色する必要がある場合は、基本色が白または透明な染色可能な基本色であることをご了承ください。

以上のようなサービスにご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

THY精密工業は、精密射出成形に精通した専門家によってサポートされています。 熟練したチームだけでなく、お客様の許容要件を満たすことができる全電動射出成形機で部品を製造していることで有名です。 クリーンルーム施設を求めるお客様のために、当社の工場は医療機器のISO規格、特にISO 13485、クラス7およびクラス8のクリーンルームで厳格に認証されています。